意外とつらい。帯状疱疹について

帯状疱疹とは

・読んで字のごとく帯状に発赤(一部水泡)とチクチク・ひりひりするような痛み(1-3週間)が生じます。多くは神経に沿って背部から側胸部・側腹部にかけてみられますが、時折顔面や頭皮にも認めることがあります。

・水痘・帯状疱疹ウィルスは「水痘(水ぼうそう)」の原因であり、水痘治癒後も神経内に潜伏しており、免疫で抑えられている状態です。15歳以上の9割以上の方々はこの状態です。加齢やほかの疾患、ストレス等により免疫低下し抑えられなくなったウィルスが再活性化することで帯状疱疹を発症します。

・50代から発症率が増加し80歳までに3人に1人が発症すると言われています。

・帯状疱疹罹患しても数年後に再発もあります。

その他の合併症

・帯状疱疹後疼痛は症状の大小ありますが多くの方々にみられます。(下記参照ください)

・帯状疱疹は水疱が治癒するまではウィルス免疫のない人には接触により感染させることがあります。水痘にかかったことのない乳幼児は重症化しやすく、妊婦に感染した場合は胎児に影響が出る可能性があります(先天性水痘症候群)。

・顔面の帯状疱疹は眼球にも影響し視力にも影響することがあります。

帯状疱疹後疼痛とは

ほとんどの場合は数週間で症状改善します。数か月から数年痛みが持続する場合もあります、基本的には鎮痛薬で経過をみます。眠れないほどの痛みが持続する場合もあり、その場合はペインクリニックで「神経ブロック」を行う方法もあります。

診断

基本的には皮膚所見で診断をつけます。
帯状疱疹の画像をネットで検索すると典型的な皮膚所見を確認できます。

治療

基本的には抗ウィルス薬の内服となります。重症の場合は入院し点滴治療を行う場合もあります。痛みに対しては鎮痛薬の内服もします。
合併症や帯状疱疹後疼痛が残ることもあり予防が大切です。

予防

ワクチン接種によって帯状疱疹と合併症、それによる神経疼痛の発症リスクを減らすことができます。
弱毒生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。それぞれの特徴は下記の通りです。

◆弱毒生ワクチン:皮下注射
一回のみの接種、費用は安価。→当院では8,000円です。
予防効果は70%程度、10年後は30~50%に低下。

◆不活化ワクチン(シングリックスⓇ):筋肉注射
二回の接種必要、費用は高価。→当院では1回19,800円です。
予防効果は95%、10年後でも90%を維持。
(弱毒生ワクチンよりやや倦怠感、頭痛、筋肉痛、微熱が出やすいとの報告あり。)
※不活化ワクチンは2回接種が必要ですので、2回で合計39,600円となります。

最後に

帯状疱疹は「(帯状疱疹に)なった人でないとわからない なんとも言えない痛み・つらさ」といわれます。帯状疱疹になったとしても早期に抗ウィルス薬の内服することで合併症を軽減できますが、後遺症・痛みが何年も残る人もいます。体力・免疫力の低下した高齢者では重症化することもあります。予防大切です。
残念ながら予防接種は健康保険の適応とならず、当地では自治体助成はないため全額自己負担となります。
帯状疱疹の予防効果を考えれば不活化ワクチンの2回投与ですが、小さくない金額の差もありますので、それぞれのライフスタイルに合わせてご検討ください。

ご不明な点があればご相談ください。 

森内科クリニック
西澤健吾